戸梶圭太氏の小説にハマる

東山彰良氏の小説「逃亡作法」が面白いと言ったら、じゃああれもいいんじゃない?とお勧めされた、さらに(俺にとって)残虐性の高い戸梶圭太氏の小説を「自殺自由法」「さくらインテリーズ」「アウトリミット」と立て続けに読んだ。

モラルのかけらもない自己中心的な登場人物が繰り広げる、阿鼻叫喚のバイオレンスや、タランティーノ作品にも通じるような、暴力の中のユーモアや、全力疾走の展開など、いろいろフックはあるけれど、非日常大好きっ子な俺としては、その圧倒的に狂気な展開に引き込まれた。

カタルシスに向けて物語が進行するわけじゃないし、めでたしめでたしな終わり方もしないのだが、日常崩壊型の展開というか、普段の生活がちょっとしたきっかけであれよあれよと死体の山が築かれて非日常になっていく感じがたまらない。

スティーブン・キング氏の得意とする日常が少しずつ狂気に染まっていく中長編や、スコット・B・スミス氏の「シンプル・プラン」のようなじっくりとした展開を、10倍の早送りにして、暴力でマリネした死体と一緒に、笑いの元をたっぷり突っ込んでミキサーにかけたような読書感。

似ているようで似ていないのが、「バトルロワイヤル」かな。あちらは、きっと残虐描写抜きでも、それなりに面白い気がするが、戸梶作品は、それ抜きでは、そもそも作品として成立しなそう。ドラクエで戦闘がありません、って言うくらい。

でも、これは俺が「暴力と死が支配する世界」を「狂気」と捉えているからの感想であって、そのへんを異なって受け取る人もいるに違いないと思うなあ。

ちょっとだけwebを調べたら、彼の公式サイト(http://www.tokajungle.com/)があった。音楽に映画にいろいろやってんだなー。小説の挿絵も彼が描いてるもんな。