期待していた「JAWS Unleashed」を購入してしまったので、しばらく封印決定の「God Of War」のプレイメモをとりあえずアップしておこうと思った。クリアしてからまとめて書こうと思っていたけど、しばらくやんないし、はやくしないと略字が「Gears Of War」と被るし。今のところのプレイ時間は8時間くらいでたぶん中盤をちょっと越えたところ。難易度はノーマルです。
もちろん、ゲーム全体としての感想とか、悪い意味で気になるところとかはあるんだけど、それはクリアした暁にまとめるかも。今回はあくまでゲームデザインメモ。紹介記事やお勧め記事は一番下にリンク集を載せたので、そちらをご参照くだされば幸いです。
■はじめに
総じて言えば、GoWの戦闘は気持ちよい。楽しい。あちこちで、アクションゲームの鏡的な絶賛を見かけた。というわけで、そこまで皆を感心させるゲームの基本アクション部分、すなわち、エネミーとの戦闘を確認しておきたいと思った。
■痛快なプレイヤの通常攻撃
- プレイヤの攻撃範囲が広いので、攻撃が当たりやすい
- コンボ中でもレバーで攻撃方向を変えられる
ここで実現するのは、エネミーの方向にレバーをいれながらボタンを連射していれば、敵をバンバンぶん殴れるという、ようするに気持ち良い状態。まずもって攻撃を当てるのが簡単。
■とどめの「CSアタック」で戦闘に素晴らしいアクセント
- エネミーのとどめを刺せるタイミングでコマンド入力すると出せる特殊攻撃
- 戦闘中に特定のタイミングでエネミーの頭上にコマンドが出て、そのとおりに入力することで、魅せる攻撃がつぎつぎに繰り出される
- カメラも一番映える位置に回りこむ
- テクモの「ワイルドファング」で、虎で敵の首を噛んだままぐるぐる回ってちょん切って血がどばーって出る攻撃より魅せる。あれがエネミーごとに違う演出が用意されている感
- ケンタウルスにマウントポジション→力比べ(ボタン連打)→頭を串刺し→血がドバーみたいな
- CSアタック中は待ってくれる優しい敵たち(ライダー、戦隊ものっぽい)
かっこよくてすごい攻撃はさせたいけど、カメラの問題もあるし、強すぎても困るし……というゲームデザイン上のジレンマを、「とどめに特化」「あくまで特殊状態」とすることでクリアしている。プレイヤとしても、体力回復などのメリットがあるので、自然と積極的に狙うことになる。
これによって、漫然としがちな雑魚との戦闘中に、決めカメラのすごい攻撃が混じることになり、視覚的にも、ボタン入力的にも、ゲームシステム的にも良いアクセントになっている。
閑話休題。このCSアタックをシェンムーのQTE直系と言いたい(なぜ)ところだが、通常アクションに組み込んであるところがちょっと違う。QTEの系譜はバイオ4とか、トゥームレイダーレジェンドのイベント寄りの演出としての使われ方だと思う。ちなみに、QTEの始祖は当然「ダイナマイト刑事」。似たシステムとして「バーニングレンジャー」の突然噴出する火を避けるアクションがあると思う。
■中ボスの連鎖がプレイヤを英雄にする
- エネミーの初登場はミニイベントをはさんでもらっている
- ほぼすべてのエネミーが初登場時は中ボス扱い
- それぞれに明確な攻略法が存在
- カメラ外にいるエネミーは、すごい勢いでプレイヤに近づく
- 近づくとプレイヤから一定距離を置いて円周移動
- これでエネミーが次々にフレームインしてくる画が頻繁に作られる
GoWではすべてのエネミーが中ボス級の強さをもっていると言っても過言ではない。ゲームを開始する、雑魚と、Aという中ボスが現れる。次のステージに進むと、中ボスだったAが雑魚扱いでうじゃうじゃ登場し、新たにBという中ボスが登場する。次のステージではAとBが雑魚で中ボスCが登場して……このゲームはこのようにエネミーが登場してくる。
当然、中ボスエネミーだらけの戦闘になるわけだが、プレイヤは、ばったばったと倒すことができる。なぜか、それは各エネミーは明確な攻略法が存在しており、それさえ分かれば簡単に倒せるようになるから。つまり、初登場は中ボスでも、次のステージでプレイヤはすでに倒し方を学習済みのため、勝つことが容易で雑魚として登場することができるのである。
この学習済みの中ボスが雑魚として登場する連鎖によって、プレイヤは自分自身の力で「強い敵」をばったばった倒すことができるのだ。
次に、地味に感心させられたのがエネミーの行動アルゴリズム。このゲームは洋ゲーには珍しくカメラ操作を自分でコントロールできないので、カメラフレームに入っていない敵が、ちゃんとプレイヤの目に見える範囲に入ってきてくれるのは重要。これによって存在感のあるエネミーが、がんがんプレイヤに迫ってくる状態が常に作られる。
■プレイヤに言い訳をさせない「いつでも防御」
- レバーいれっぱなしで連続で避けをしてくれる
- 囲まれたときは、右アナログいれっぱでとりあえず避難できる
- 右アナログを連続で入れるのは疲れるので嬉しい
- 大攻撃など隙の大きい攻撃中やジャンプ中にもガードが可能
- ボタンを連打してコンボ攻撃中も、いつでもガード、避けができる
- 「コンボ」という、うまいはずのプレイが、逆に大きな隙を与えるという状況をなくしている
- 加えて、エネミーは攻撃に必ず「予兆モーション」がある
- つまり、敵の攻撃に反応さえできれば、ほぼ必ずガード・避けができる
GoWにおいては、攻撃だけじゃなく、防御面の仕様もまた素晴らしい効果をあげていると思う。一番優れているのは、丹念に積み上げられた「気持ちよい攻撃のための仕様」を邪魔する敵からの攻撃を、自分の責任で回避することができることだ。これだけいつでも防御できると、ダメージを受けたときの「自分の責任」度合いが高い。だから、やられても納得がいくし、次はうまくやるぞとプレイを続けられる。
俺は仕様貧乏性で、つい「大攻撃は威力はあるけど、隙が大きくてダメージを受けやすいんですよ」とか、つい言いたくなるので、こういう基本アクションのストレスを激減させる「あえてリスクを省いたデザイン」というのは見習いたい。
■まとめ
というわけで、戦闘部分における要素をまとめると、
- 攻撃したい方向にいつでも攻撃できて、しかも当たる
- 単調にならないようにアクセントとしてCSアタック
- 学習によって確実にうまく倒せるようになるエネミー
- どんな時でも攻撃を回避できることでストレス軽減
という磐石の構えで、目的を阻む障害を、攻略法を学習することで乗り越えるという、ゲームの基本的な流れを、ストレスレスな基本操作で実現させつつ、違う操作とカメラでアクセントまで用意している、ことがわかる。
■その他GoW関連リンク集
- へたれゲーマー駄文(やや否定寄り)
- こどものもうそうblog(日本人による絶賛)
- GDC2006での「GOW」Creative Directorへのインタビュー