ボウケンジャーの「アクセルラー」をつくった

我が家には3歳と6歳の息子がいるが、この年頃の男子の例にもれず戦隊モノの熱烈なファンである。ちゃんと見始めたのは2年前の「デカレンジャー」からで、去年の「マジレンジャー」、そして今期の「ボウケンジャー」と欠かさずに観ている。

そして、それらの番組と切っても切れないのがその隊員たちが身につける装備のおもちゃである。息子らは、これらの装備を身につけてテレビを見ながら共に戦うことで、テレビへのシンクロ率が飛躍的に高まり、もう中毒患者といってもよいほどのクレイジーな盛り上がりをみせる。

今期の「ボウケンジャー」のメイン装備は「アクセルラー」という携帯電話型装置で、隊員たちはこれをもって変身したり乗り物を呼び出したりいろいろする。子供たちはその「アクセルラー」欲しさに、自分たちでノートに描いた「アクセルラー」を切り抜いて遊んでいた。

そこまで遊ばれるおもちゃなら買ってあげたいのが親の心。しかし、日本から輸入されるモノはすべからく割高であり、本であれDVDやCDであれ売っている日本製品は定価の1.5倍が相場である。であるからして、単価が高いものは、おもわず唸るほど高額だったりする。ただでさえ、DVDを空輸しているっつーのに、これ以上の出費はどうなんだという気持ちになる。

というわけで、ボウケンジャーの基本アイテム「冒険携帯アクセルラー」を発作的に手作りしようと思い立った。子供が遊んでも壊れないことを目指し、厚紙を張り合わせるだけの2Dアクセルラー。立体的な造形はなし。ただ、一番特徴的なモニタ部分が回転するギミックだけは再現。僕はプランナ、無理な計画は立てない。

まず、オフィシャルサイト以上に詳細な写真と説明が掲載されているこちらのページからPhotoshopに写真を貼って印刷して切って貼れば完成。

のはずだったのだが、写真を取り込んだ段階で欲がでた。ロゴが入ったダイヤルなど特徴的な部品だけ別に印刷し、上から張ることで少しでも立体的なデティールを出したくなったのだ。しかし、いざやってみると、Photoshop上でパーツを切り出す段階で、いろいろ面倒くさいことが分かった。写真が元なので、パーツに角度がついていたり、影が濃かったりで、結局、シアーをかけたり、色味をいじったリで自然に見せることにエラい時間がかかったのだ。

ここで、やめればいいものを、意外にパーツが少ないことに気づき、Illustratorで全パーツを描き、それらを張り合わせたらゴージャスじゃね?しかも銀色のパーツは銀色の厚紙にプリントするの。と考えてしまった。不在がちな父親としては、下がりきった信頼や権威などのパラメータを回復させるチャンス。とうちゃんの作るアクセルラーは、ノートに描いたアクセルラーとは一味違うぜ息子たちよ。

かくして、僕は「アクセルラー」すべてのパーツをパスでトレースし、レイヤにわけて、色を塗った。そして、銀のパーツは銀色の厚紙に印刷するため、別のファイルに移した。モニタ部分はjpg圧縮によって潰れて読めなくなっていたので、似たテクスチャを自作し、似たフォントをダウンロードして、新規に作った。すこしクリアすぎたので、ドット単位で汚しをいれてみた。

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▲左から説明書、銀パーツ、ノーマルパーツ、コーヒー

「なんだよー、ベタ移植って言ってたのに全然違うじゃん!」

「これじゃー、新規と同じだよ!」

という不平不満が聞こえてくるようだ。

うはははは、しかしここは会社ではない。

思う存分、凝らせてもらおう。

ここまでで約2時間。さらに切って貼って組み立て(もはや組み立ての域に達していた)に3時間。トータルで5時間かけて、ついに厚紙製のアクセルラーが完成した。回転する部分の軸にはストローを使って強度もばっちり。引っかかりもなく、スムーズに回転するぜぐへへ。

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▲紙とはいえ、何層にも重ねて貼られたパーツ群のおかげで、けっこうな存在感。

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▲数字ボタンのところにラバーを貼ってみたが、滑りが悪くなるのでやめた。

朝起きて、これを手にした2人の息子たちのはしゃぎようったらなかった。そして、奪い合いの激しさもなかった。変身シーンでは、どちらが手に持ってかざすかで奪い合い。乗り物が発信するシーンではどちらが呼び出すかで奪い合い。パンチ、キック、泣き声。

「責任とってよね。」

妻の声が痛い。今晩も長い夜になりそうだ。でも、同じものを作っても芸がない。次は薄い板の周りに貼ってみる、か。