白人が1億総サングラスな理由

サンフランシスコに転勤してきて困惑したのは、なんといっても白人がみんなサングラスをかけていることだった。大体において、僕ら日本人にとってサングラスを着用するというのは、変装か、釣り人か、タモリかのどれかの場合であるから、変装でも釣りでもないのにサングラスする彼らは、のきなみ「タモリ」に該当してしまうのだ。いやウソ。

思えば、僕の子供時代のサングラスの印象は「こわい人」というものだった。「こち亀」の両さんだって、マルチ商法のセールスマンになったりヤクザになったりしてスゴむときはサングラスをかけてた。とはいえ、僕はもう大人なので、いくらなんでもサングラスをかけているからって「こわい人」に見えたりしない。

「セレブ」に見えるのだ。車に乗ってる白人がサングラスをかけていると、「あ、セレブ。」と反射的に思ってしまう。それがたまにだったらまだいいのだが、なにせ見かける白人の99%がサングラスをかけている。そのたびに「あ、セレブ。」と脳が反応するのだからたまらない。どうみても違うやつまで反射が起きる。

車に乗ってるセレブ。

自転車こいでるセレブ。

信号待ちしてるセレブ。

裸足でダンボールの中に丸まってるセレブ。

男どうし手をつないでチワワの散歩をするセレブ(s)。

僕の困惑も納得がいくことと思う。もう気になって気になってゲームなんて作ってる場合じゃない。それとなく同僚にどのように脳内対処しているか聞いたところ、驚くべき答えが返ってきた。

「だってあいつら眩しいんでしょ?」

聞くところによると彼らは、瞳の色素が薄いために、僕らの2倍光をまぶしく感じているというのだ。ネット検索すると確かにそのような説が確認された。

メラニン色素の量が少ない白人は、虹彩の色が薄いため黒目の2倍も光を眩しく感じてしまい、多くの白人は日常的にサングラスをかけています

なるほど、それなら納得。眩しいからかけてるわけね。解決。もう大丈夫。これからは「あ、セレブ。」の代わりに「眩しいんだナ。」と思うだけ。確かにフリーウェイとか全然陽を遮るものないしな。車に乗る時は危ないからかけてるわけね。それにしても、「目をみればすべてがわかる。」ってすごいタイトルだな。「多くの白人は日常的にサングラスをかけています」って断定もよく考えたらすごい。まるで家の中で親子全員赤ちゃんもグラサン着用って感じ。

ちなみに、鏡に映ったサングラス着用の自分の姿をはじめてみた時は、やっぱり「あ。」と思いました。はいはいみうらじゅんみうらじゅん