Saturn崩壊の序章

 アメリカで車を買った話 - GAME NEVER SLEEPSの続きの短信です。

この車の窓は、懐かしいレバーぐるぐる回して開閉するやつなんだけど、つまみのところがとにかくとれやすい。つか、どんどんとれやすくなってる気がする。かなり気を使って回さないとすぐにポロッといく。虫取り網に引っかかったトンボの頭くらいとれやすい。わかりにくいか、どうにも。なんつーか、とにかくもう、悪霊を封印した地蔵の頭にテレビクルーがぶつかった時くらいコロンコロン外れる。まじで。

これが困る。俺が住んでるカリフォルニアっていう土地はとにかく車社会なので、何かと車にのったまま用事を済ます、いわゆるドライブスルーのために窓を開ける機会が多い。銀行、薬局、郵便局。タコ屋にピザ屋にバーガー屋。たいていは細心の注意を払って回すんだけど、それでも何かの拍子に外れてしまう。後続の車にプップーとか鳴らされる。

今日も、会社の駐車場のゲートで、カードキーがポケットの中で引っかかっちゃって、よそ見しながらキコキコやってたら、パコッてとれた。俺の車の後ろにはすでに数台の列。うわーって焦ってつまみが刺さってた細い棒を指の先でつまんで一生懸命まわしてたら、今度は根っこからレバーがもげた。

とりあえずちょっと照れながらドアを開けて車を降り、カードキーをセンサーに反応させて事なきを得て、無事に駐車。拾ったレバーとつまみを持ってしばし途方に暮れる。レバーを元どおりっぽく挿して、つまみをくっつけてみる。おー、なんか直ったっぽい。回す。取れる。

うおー、レバーとつまみで2重に取れやすくなってしまった。大学1年の夏にエヴァ弐号機のプラモで「アスカ来日」の決めポーズつけようとして、腕が決まるとナイフが取れて、ナイフが決まると腕がもげる体験を忠実になぞってきやがる。車のくせに。負けるか。直す。回す。取れる。直す。回す。回る。お?回る。やった!と思ったら取れた。何度か同じシーケンスを繰り返してだいぶコツをつかんだが、外れる瞬間を察知して「ああっ!」って声をだすのが精一杯。

というわけで、茶色のSaturnが料金所やドライブスルーで立ち往生してたら、クラクションなど鳴らさず、温かく見守ってください。あとできれば外れるな!って念を送ってください。よろしくお願いします。