いろいろ考えさせられたゲーム2009年版

GOTY!GOTY!というわけで2009年ゲームデザイナーとして、いろいろ考えさせられたゲームを挙げてきます。

  • 全部北米版です。
  • あくまでも、俺のための俺リストです。
  • ソースはほぼ俺記憶ですんで、信用しないでください。
  • 内容は概ね知ってるの前提で書いてます。ネタバレはないつもりです。
  • 海外レビューまとめのリンク先は、すべて"Game*Spark"(http://gs.inside-games.jp/)さんです。
  • 下書き保存ミスで1回全消えしたんで、自動書記っぽい感じになってます。

■"Dead Space" (Xbox360/PS3/Win)
海外レビューまとめ

いきなり去年のゲームですんません。ゲームの世界が、ライティングと音響でどれだけ生々しく立上がるかを示す好例であり、また、購入前にその価値を伝えにくい例でもあるゲーム。あとは宇宙船って設定が、世界の構成にすごく説得力があって良いと思った。通常ジャンプできない主人公がジャンプする必要ないマップ構成なのも、ショップがあるのも、真空ゾーンがあるのも、宇宙船だもん、そりゃそうさ。クリーチャーを全滅させないと先に進めないのも、セキュリティシステムがロックをかけるからで、すごく納得。なっとく森。角を曲がるのが怖くて、わざわざ取り損ねたアイテム取りに戻ってそこにクリーチャーが飛び出てきて2倍驚いたりとか、良い思い出。ほんとこわい。

■"Scribblenauts" (DS)
海外レビューまとめ

E3で大盛り上がりだった。単語をつづるとゲームの中にそのオブジェクトが出現。その能力を使って星を取るゲーム。いやー、単語を書けば何でも出るって聞いて、どうやってゲームにまとめるのかと思ったけど、シンプルなゴールに無数の経路っていうテキストアドベンチャー版『海腹川背』みたいな感じ。力業で2万種類くらい認識してオブジェクトでちゃう。すげー。とはいえ、概ね物理ルールに則った挙動なので、ギリギリ破綻してない風。たぶん、ここがキモ。プレイヤーが無茶できるところと、ゲームを破綻させないための線引きが制作者の中にちゃんとある。そして、プレイヤーの「こうしたらどうなる?」に全力で答えてくれるゲーム。えらい。

■"Uncharted 2: Among Thieves" (PS3)
海外レビューまとめ

最近はやりの、グレーボックスで遊んでも全然面白くないだろーなー系ゲームの筆頭。僕としては、ゲームデザイン云々よりも、アニメーションのブレンド技術に注目したい。走りながらカバーに入りながらリロードしながらダメージを受けるとか、今までだったらそれぞれにつなぎのモーション入れないと不自然になってしまう(=ちゃんとするのにめちゃめちゃコストがかかる)ようなブレンドが、プログラムによる補間のみで、ほぼ自然な形でつながっている。開発スタジオであるところのNaughty Dogは、今世代の映像主導のゲーム体験に何が必要かよく分かってるなーと思う。自然なアクション/リアクションのために必須の滑らかなアニメーションを、できるだけアニメータの手を借りず(=容易に変更可能)に実現する技術に相当のリソースを割いている。うらやましい。

■"Batman: Arkham Asylum" (Xbox360/PS3/Win)
海外レビューまとめ

アクションゲームにとって、ここしばらくの問題であるところの、どんどんリアルになる画像と、まったく変わらない人間のコントロール技術と知覚能力の差をどう埋めるかに対するひとつの回答。ボタン押下で起きるインタラクションが、決められた特定の行動ではなく、結果の選択。例えば、敵から逃げたかったらワイヤーボタンを押せば、発射角度とか姿勢とか関係なく、とりあえず届く範囲の何かにワイヤーを引っかけて脱出できるとか、敵にビックリマークが出たらカウンターボタンを押せば、姿勢に応じたカウンターアタックが発動するとか。あと、画面がリアルになればなるほど、インタラクティブなオブジェクトがわかり辛くなる問題は、Detective Visionと呼ばれる、ゲームに関係あるモノだけカラーで表示しちゃうよモードで世界観に則りつつ潔く解決。Tomb Raiderでは同じような解決策が若干ゲームから浮いてたけど、これならアリ。みならいたい。

■"Left 4 Dead/Left 4 Dead2" (Xbox360/Win)
海外レビューまとめ

カジュアルCO-OPシューターの金字塔。4人で協力しないと生き残れないんだけど、レベルデザインじゃなくて、ゲームデザインそのものが全力で4人の協力を求めてくるかなりコアなゲーム。具体的には、スイッチを同時に押したり、先にハシゴを上った人が手を貸したりとか、そういうんじゃなくて、すんごい強いゾンビがどこから出てくるかわからないから、自然と4人が固まって背中を守り合いながら進むとか、そういう感じ。元々『HALF LIFE』のMODであったスポーツ系(競技系)シューターであるところの『Counter-Strike』のMODから始まり、みんなCO-OP好きなのに短い時間で気軽に遊べるCO-OPゲーって意外にないよね?ってマーケティング結果を基に立ち上がった企画らしい(すんません、開発者の話を俺記憶で書いてます)。ハードコアなゲームデザインに対して、提案するプレイスタイルはあくまでもカジュアル。いつ参加していつ抜けても良いように*1プレイヤーが抜けた瞬間、AIがシームレスに代わりを務めてくれるし、経験値、アイテム収集要素などがまったくない。身の回りでは、往年のPSOよろしくチャットソフト代わりになるケースが多い。

■"Borderlands" (Xbox360/PS3/Win)
海外レビューまとめ

シューターとRPGの融合、だけなら"Fallout 3"も"BioShock"もそうだけど、これの違うところはオンラインCO-OP前提のところ。遊ぶ前は、シューティングのうまいヤツと、レベルの高いヤツが一緒に遊んだとき、俺のほうがヘッドショットできるのに、時間かけたあいつのほうが強くてむかつく/俺はレベルMAXなのに、ヘッドショットうまいあいつのほうが強くてむかつく、っていう矛盾っていうか潜在的ストレスをどう解決するのかと思っていたけど、なんか低レベルのやつがすんごい勢いでレベルあがちゃう豪快仕様だった。まあ、RPGといわれるジャンルにしてはわりと短い時間でレベルがカンストして、今だにキャップ引き上げのパッチも来ないところをみると、最高レベルが前提のつくりなんでしょう。プロシージャルで武器がほぼ無限に生成されるとか、いろいろバズってた話題もありますが、身の回りの外人を見てると"LEFT 4 DEAD"をチャットソフト代わりにダラダラ遊んでた層が、もうちょっとデータが蓄積するようなのやんべえかみたいなノリで遊んでるし、作ってる側もそこを意識してそう。ストーリーとか超適当だし。

■"inFamous" (PS3)
海外レビューまとめ

"Prototype"とだいたい考えたことはかぶってるんだけど、こっちのほうがちょっと先にでたので。GTAフランチャイズとか、"Crackdown"とか、サンドボックスとか箱庭系とか言われるゲームを、とことんまで予算を削って作った、今あるべきリアルな姿だったと思う(削ったって言っても間違いなく10ミリオン㌦弱は越えてると思いますが)。まず、カットシーンがアニメータ不要で外注容易なコミック調の止め絵を組み合わせたスライドショウみたいな動画。うまく言えん。コストの高いマップでバリエーションを出すのではなく、プレイヤーの行いに善悪の概念を入れて展開に幅を持たせてプレイ時間を引き延ばしている。とってつけたようなスキルツリー。今後を見越したプレイヤーエンジンを感じる必要以上に豪華なキャラクターの挙動。などなど。あと、スライクーパーフランチャイズのSucker Punchがデベロッパーなんだけど、ジャックのデベロッパーであったところのノーティドッグに続いて、リアル指向にいったのは感慨深い。これも時代の流れか。ラチェット高評価で、Insomniacの次の一手も気になるきょうこのごろ。

長くなったので今日はこのへんで。近日つづきをアップ予定です。えーと、あとは"Call of Duty:Modern Warfare"と"Trial HD"と"1 vs 100"と"MAD WORLD"とまだあるか?"Shadow Complex"も何か書けるかな。あとは恐竜撃つFPSも?

*1Drop-in/Drop-outとかJump in/Jump outとか呼ばれている