赤い車のドライバーたるもの

どうもゲーモク氏に誤解されているようだ。

妻がエヴァンゲリオン弐号機パイロット惣流・アスカ・ラングレーになりきって赤い車に搭乗しているとは知らなかった。車の傷よりも、俺の心についた傷のほうが深い。そんな夏の午後。

え? ちょっと待てよ、素面で車に乗ってる人なんているの? 俺なんか白い車に乗ってるわけでもなく、コロラド~カリフォルニアの荒野を走ってるわけでもないのに、その魂は『バニシング・ポイント』のコワルスキーになりきっているというのに! そんなことで妻に絶望しているIDA-10氏に俺は絶望したぜ…… 離婚調停に入ったら間違いなく負けるよ?

別れは必ずやってくる -独語螺旋:消失点日記

なりきって車に搭乗するの当然!小学生のころ未舗装の道をエキサイトバイクの人になりきってチャリンコでウイリーしてコケた俺ですよ。ただ俺は、俺の妻たるもの、赤い車に乗ったら、その瞬間からターボアウトランの金髪女性だと自覚してもらいたいだけ。なぜ初代じゃないかというと、俺が初めて乗ったアウトランにはターボが付いていたから。

当時、ゲーメストベーマガで折につけて絶賛されていた「アウトラン」は近所のゲーセンにすでになく、俺の中で「伝説のゲーム」として妄想ばかりが大きくなっていた。そしてついに「イサワランド」にターボアウトランが入荷。「これが、あの『ぎあがちゃ』のゲームの続編なんだ......。」と100円玉を投入。知ったかぶりしてギアをガチャガチャさせて2面でゲームオーバー。2階のレトロゲームコーナーの「モトス」が5回遊べる金額が一瞬で消費されたことに呆然としつつも、俺はついに伝説のゲーム(の続編)を遊んだのだと自分を納得させたあの日。

正直いうと、すでに稼動から日がたって1PLAY50円になっていた「チェイスHQ」や「パワードリフト」のほうが安くて面白かったのだけど、ぜんじ師匠もつぐみちゃんもアウトラン最高って言ってたし!と無理にでも自分を鼓舞しながらプレイし続けたあの日々。なんだかんだとうまくなってついにロスアンゼルスにたどり着いたあの栄光の日。

あれから約20年、俺はついに本物のカリフォルニアの大地を赤い車でドライブしています。今、目の前に広がるパノラマは、あの日、薄暗いゲーセンの中、モニターに映っていた#0000FFの蒼い空と#FFFFFFの白い雲そのものです。煌く太陽はハンドルを握る腕を焦がし、太平洋からの風が俺の全身を包みます。

そこで、アスカて。「何で俺はトージャムなのにお前はアールじゃないんだ!」とか言ってるならまだしも、ターボアウトランとアスカだったら、どんなぼんくら陪審員でも10:0で俺でしょう?大体、スト2ひとつプレイするのだって、テロリストが核ミサイルのボタンを手にして、「1コインで15人抜きしたらこの手を離そう。そう、お前のプレイに全人類の未来がかかっているのだ!」って設定でプレイしてた俺ですよ?ていうか今でも「今から30秒俺のすべての感覚が全人類と共有される」つもりで最高の俺を演出したりしてr(オチもなく終了)