洋ゲーのひとつの極み”Guitar Hero”

まずは、下の動画を見て欲しい。これでこのゲームの魅力は99%伝わると思う。


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というわけで、去年の発売からアメリカのゲームショップ、量販店などで、ベストセラーとしていつでも棚に並んでる定番商品となった"Guitar Hero"の1と2を、難易度Hardまでクリアした。左右の手首が熱い。ちょう腱鞘炎。高校の頃、軟式テニス部でボレー練習やりすぎで痛めて以来。間違いなく好きなゲームベスト3に入る。


一応説明すると、"Guitar Hero"シリーズは、さまざまなクエストをこなして「芸術心獣コリビス」を仲間にしつつ、伝説のミュージシャンSHOGO HAMADAのライブを開催することで、“グラルエナジー”と呼ばれる瘴気に侵されてモノクロームになってしまった異世界「アレット」を救うというゲームで声はSHOGO HAMADA本人が担当。うそ。違う。

ギター型のコントローラと、古今のヒット曲が特徴の音ゲー。なお、1も2も基本は一緒だし、書き分けるのが面倒くさいので、これ以降の記述は1と2が混在してるので注意。

あと、前提として、"Guitar Hero"は、ゲームとしてとても面白い。ゲーム内のお約束を理解したり、ゲーム内のパラメータの積み重ねでうまくなるのではなく、俺自身の普段使わない脳と、フィジカルな技術が発達していくのは純粋に楽しい。初めて触った頃にHardクリアなんて夢のまた夢だったのに、練習したらクリアできるようになった。素晴らしい。あとね、Coプレイもギターバトルも最高に楽しい。


で、何が良かったって、動画を見てもらえば分かるとおり、期待どおりにギターヒーローに「なりきれる」ところ。まず、当たり前だがコントローラがギター型ってのが良い。ストラップを肩にかける儀式めいた瞬間がすごく嬉しい。俺も動画の彼と同じように、プレイの度に、ステージにあがるギタリストの気持ちを味わっている。

コントローラは、ただ形だけじゃなく、「ギターっぽさ」を感じられるようにいろいろと工夫されている。下からかきあげるように弾いても認識したり、弾いた後、ぎゅいーと鳴ってる音をわうわうと歪ませる棒がついていたり、どんな男子も憧れる「カッコよくギターを弾く人」をちゃんとマネできる。

それだけではなく、弦にあたるボタンを放すと音が途切れたり、「ハンマリング」「プリングオフ」と呼ばれる奏法を認識したり、ソフト的にも可能な限り「ギターっぽさ」を出している。


そして、動画で見えない部分を補足すると、ゲーム全体から発せられる雰囲気が、どこをとっても「それっぽい」のがすごく良い。

各種2D表示物が、ロックな気分を高めてくれる。殴り書きのフォント。目からビームを出してるオヤジのイラストがパンク感いっぱいのセーブ画面。セットリスト風の曲セレクト画面。フライヤーっぽいステージセレクト画面など隅々までスキがない。

俺が特に気に入っているのは、ロード画面で表示される「ギターヒーローになるためのtips」。

お前のママは、ファンのうちに入らない

メンバーが白いベルトをするようになったら、即座に追い出せ

ギターは腰より上で弾くな、お前はビートルズじゃない

新曲を、「ロックアンセム」とか言い出したら要注意

セットリストに、アンコール用の曲を書いておくな

練習スタジオの冷蔵庫は、ベーシストより大事

アンプのツマミは、9より10のほうが音がデカい

おっとキリがない。


それに、プレイヤの分身が演奏する会場のアートワークが素晴らしい。サンフランシスコの近くに住むようになって、キャパ100人程度のライブハウスから、2000人規模のホール、万近い野外シアターまで、いろんなヴェニューに行ったが、このゲームからは、それらに近い臨場感がビシビシ伝わってくる。

そんな雰囲気の中で、ステージに立って、憧れの名曲をプレイできるんだから、あなた、たまりませんよ。ロック好きなら、これにシビれない男はいないはず。


えーと、なんで、このエントリの表題にわざわざ「洋ゲー」という気恥ずかしい言葉を入れたかというと、このゲームには、アメリカに住んでみて分かるアメリカらしい空気がみなぎっているから。どうしても、こういうゲームは「洋ゲー」と呼びたくなる。ちなみに、基準はあくまで「雰囲気」なので、俺の中では「クレタク」も立派な「洋ゲー」だったりする(参考「別に「洋ゲー好き=スペック至上主義」じゃないよな」id:IDA-10:20061110)。


最後に。音ゲーとギター型のコントローラの組み合わせをコナミ社が最初に実現したことは事実だし、したり顔で「これって『ギタフリ』のパクりでしょ?」と言うのは簡単だ。

ただ、"Guitar Hero"とは、「GuitarFreaks」を極めて高度にアメリカ向けにローカライズしたゲームであり、2006年度北米で5番目に売れた(ソースは俺記憶)実績を持っている、と考えてみると、日本から無視されているに等しい数多の海外オリエンテッドなゲームも、新しい可能性があるような気がするとか知ったようなまとめをする俺はちっともROCKじゃねえぜ!