危険な言い回し

試飲したディスカバリーズミラノについては「うまみがある、なにかが違う」と大絶賛だった。

なんだ、「うまみがある」って言っときながら「なにかが違う」って。結局、うまいのかまずいのか分からないじゃないか。「なにかが違う……ウンコ臭い!」かもしれないし、「なにかが違う……これは、ダイノキングだ!」かもしれない。

何故こんなセコいつっこみをしてるかと言うと、これって企画が言いがちな危険なセリフだから。


「どうでしょう、このテクスチャ?」

「すげえ綺麗、でも、なにか違うんだよねー」


言いたくなる気持ちはわかる。理想と何か違うんだよね?でも、それって何をほめてんの?何をけなしてんの?まったく具体性がないまま、なんとなく相手を否定。きゃー、最低ー。他に危険な受け答えとしてこんなのもある。


「ここんとこ、どうしましょうか?」

「うーん……いい感じでよろしくです☆」


まったく自分のオーダーを言わないこの企画は、出来上がったモノを見て、きっとこう言うに違いない。

「なにかが違う」

相手は自分の発注によって、時間と技能を使って具体的な成果を提示していることを忘れてはいけない。ある意味、その成果物は相手の人格と同義だ。どんなに急いでいても、寝てなくても、何をどう発注するのか、それがOKかNGか、きちんと納得のいく答えを用意するのは、業務上、いや人間として最低限の行動だ。

そんな最低ラインの仕事もできないような企画は気をつけたほうが良い。席をはずした隙にエロエロスクリーンセイバーを入れられて、いきなりモニターがアッハンウッフンぱっかんぱっかんした上に、解除にパスワードを設定されて、昼休みの間中、恥を晒したヤツがいる。そいつは、今もいつそれが発動するか気が気じゃないらしい。もちろん俺だ。

ごめんなさい。もう2度と言いませんから許してください。